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その時
「…んッ……」
ゴソゴソとベットの中で動く気配がして、慌てて身を乗り出す。
「ケイ!」
「う、ん…?……コハ…ル?」
「ケイぃぃ…」
ゆっくり瞼を開けたケイに、安堵の溜息が出る。
今日は涙が決壊状態。でも、今は嬉し涙だから、構わない。
「バカ息子!心配かけんじゃないわよ。ったく!」
「あ?…リカコ?」
「ハアー…どいつもこいつも…親を呼び捨てするな!」
まだぼんやりとしているケイは、今の状況が飲み込めていないようだ。
「恵ちゃん、学校で意識を失って、救急車で運ばれたのよ」
「学校……ああ、そっか」
お母さんが簡単に説明すると、ケイは額に手を当てて、思い出したように呟いた。
「コハル、怪我は?」
何で、自分の事よりあたしの心配してるんだよ。自分の方が大変だったのに。
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