226人が本棚に入れています
本棚に追加
「ま、まだ、寝てないと!」
「大丈夫だよ」
身体を押して寝かせようとしたあたしの手を、ケイが掴む。
「よかった。コハルが無事で」
ギュッとあたしの手を握り、ケイは穏やかに微笑む。
「…ッ…ケイ…!」
あたしもケイの手に自分の手を重ねて、ギュッと握り返す。
嬉しい…そして、苦しい。
好きで、好きで、苦しんだよ。
「あたし…ケイがあたしを庇って倒れた時、生きた心地がしなかったよ…」
あたしは、ずっと、幼馴染っていう立場に甘えていたんだ。
こんなにも好きだから、失うことが怖かった。
だけど、血を流すケイを見て、幼馴染とかそんなこと吹き飛んでいた。
「大袈裟だなぁ…」
「大袈裟じゃないよ!ケイが死んだらどうしようって…」
あの緊迫した状況をケイは知らない。
・
最初のコメントを投稿しよう!