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09 #2
「コハル」
「ん?」
シンが静かに私の名を呼んだ。
「良からさぁ…俺達が受験で悩んでいた時に言われたんだよね」
「良ちゃん?」
良ちゃんは、シンとケイのお兄ちゃん。
11歳も年が上で、あたし達が小学高学年の頃には家を出て独り立ちした。今では既に結婚もしている、しっかり者のお兄ちゃんだ。
「俺達、中3の時、お前の高校を受験するかどうか悩んでたんだ。もし一緒に通うようになって、また、あんなことがあったらって」
「…シン」
「でもさ、良が『何もせずに後悔するより、思い切りやって後悔したほうがマシだぞ』って。
だから、俺達、お前と同じ高校に入ったんだ。もう一度、チャレンジしたくて。
せっかく俺達と一緒だったのに、あんなままだったら悔しいだろ?」
シンが、屈託ない笑顔を見せる。
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