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「俺は…何にも努力しなかったから……こんなに悔いが残ったんだ…」
苦しげな表情で、顔を歪めるセツ。
「ごめんな。今日が最後だから…過去を嘆くのは」
そして、伏し目がちに謝りの言葉を口にする。
最後って……私達は、もう戻れないから?
過去を振り返らず、あくまでも同僚でいようと言ったのは私自身なのに、セツの言葉に胸が締め付けられて苦しい。
堪らず、私は胸の前で手を握り締め、俯いた。だけど…
「後悔するなら、思い切りやって後悔した方がマシ」
「え?」
唐突にセツから発せられたのは、巡り巡って古賀兄弟を励ました月絵さんの言葉。
顔を上げセツを見ると、先ほどとは打って変わって、爽やかな笑みを浮かべている。
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