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「俺、もう後悔したくない」
何かを決心したような、強い眼差しのセツ。
ちょうどその時、遠くで、カキーンと金属バットの高い音が響いた。
そして、『別れの曲』は終盤を迎え、最後の一音を静かに終える。
「サユ」
13年前と同じように名前を呼ばれただけで、高鳴る心臓。
「もう一度やり直したい……いや、最初から始めたいんだ」
「セツ…」
私も13年前と同じように、自然と彼の名を口にする。
「過去に拘っていないと言えば嘘になるかもしれない……だけど、それだけじゃない。
教師という仕事に真摯に取り組んでいる姿にも…
生徒達と一緒に無邪気に笑っている姿にも…
大人になった俺は、大人になったお前に、惹かれている」
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