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学校の中で、いつもどこかで無意識に捜していた。 真剣に授業に取り組んでいるセツを… グランドで生徒達と戯れるセツを… 古賀君達を助けてくれようとしたセツを… 好きにならないようにって言い聞かせて。 今、ストレートに伝えられたセツの言葉で、改めて、自分自身のことに気付かされる。 『過去に学ぶのはいいけど、過去に囚われたらダメよ』 月絵さんの言葉が蘇る。 過去に囚われすぎて、認めようとしていなかった。今の自分の気持ちを。 私も…同じだ。 まだ幼かったあの頃と違うセツに戸惑いながらも、目で追わずにはいられなかった。 それは… 「私も…私の知らないセツを知りたッ…」 「サユ…!」 私の語尾は、セツの胸の中へと吸込まれた。 ・
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