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ドクンドクンと大きな音が耳へと響く。
セツの胸から聞こえてくる心臓のリズムは、私と同じように早鳴っている。
「もう一度、サユと出会えて、本当に良かった…!」
そう言って、セツは私をギュッと力強く抱きしめた。
「…ッ…わ、私も…!」
嗚咽を堪えながら、必死にセツにしがみ付く。
13年前の4月1日。
あの日、泣きながら追い縋ろうとして、手の届かなかった貴方が、今ここにいる。
その奇跡を噛み締めて。
「ちょっと、サユ、こっち!」
「え?な、何!?」
いきなり、セツが私の手を引っ張り、連れてこられたのは、窓際の廊下から階段下の物陰へ。
「我慢できない」
「は?……んぅッ!」
突然、塞がれる唇。
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