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じんわりと私の中に染み入るケイの想い。
「わかった……練習、頑張る」
「ブッ!頑張ってくれるんだ?」
「…うっ……なんとか」
吹き出しクスクス笑うケイに、口を尖らせ、照れ隠しに視線を逸らす。
だって、あんな言葉を囁かれたら、嫌だとは言えないじゃない。
「よし!じゃあ、もう1回キスを…」
「ダーメ!」
あたしは咄嗟に顔の前に腕をクロスさせて防御する。
「何で!?」
「ここはピアノを練習するところでしょ?」
そうは問屋が卸さないっての!
『少しずつ』とケイが言った言葉を踏まえた上で。
「さ、練習しよう」
「……はいはい」
毅然な態度で促すと、諦めの溜息を吐いて、ケイはピアノに向き直った。
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