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epilogue #2
今度は、先生の方がキョトンとしている。
あいつらが普段言っているように、つい略してしまったから、勘違いするのも仕方ない。
「この曲、『子犬のワルツ』って言うんで」
「ああ!そういうことか!アハハハ!」
俺が音楽室がある上を指差し曲名を教えると、先生も大きな声で笑った。
「でも、倉橋さん達、この曲、よく弾くなぁ」
「そうなんすか?
サッカー部はグランドのあっち側だから、ピアノが聞こえてこなくて」
あいつら、きっと、リカコに怒られるから、学校で『子犬』弾いているんだな。
『この曲はこの弾き方でいいんだ!』とリカコに反発していた幼いケイを思い出す。
二人でピアノに没頭して、俺は蚊帳の外。
コハルを独り占めできるケイが羨ましくて…
本当にケイと双子だったら、コハルと同じ年に産まれていたらって、何回考えただろう。
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