第1章

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ーーーー結局、ごみは出せなかった。 キラキラした日光がカーテンの隙間から入ってくる。 ベッドから降りて、ぴっとテレビをつけると、もうとっくにいつも見てるニュースはおわっていて。 朝の占いみて、洗濯機まわして干して、朝ごはんはフレンチトーストにするという私の今日の予定が… きっと後ろを振り向き、原因となった人物を睨む。 「もう、亮のばか」 「いーじゃん。だって、かずが柔らかくてあったかいんだもん。 あ、今日3コマからだよね? 昼どーする?」 「お昼作ってあるから、てきとーに食べてていいよ。 私、学校でレポートやるから」 「え、ここでやればいいじゃ」 「あんたと一緒じゃできないのよっ」 言い合いながら洋服をタンスから出して、洗面所に向かう。 「…いい加減ここで着替えたら?」 「いーのっ。亮もはやくきがえてっ。私は気にせず行っちゃうからね」 「…まだ恥ずかしいのー?」 振り返ると、すっごくにやにやした顔でみてくる。 上半身裸の彼。 無駄な肉の一切ない、細身の体。 細いけど、元陸上部でほどよく日に焼けたその感じが、ひ弱なかんじより引き締まった風にみえて、カッコ良くみえてムカつく。 …そうなんだよなぁ。 こんなんだけど、かっこいいんだよなぁ。 「違いますー。顔を洗いにいくついでですーっ」 「あっそ」 付き合って、2年と4か月。 お互い国立大学の3年生。 週に2.3度お互い泊まりにくればもはや半同棲状態。 好きな食べ物から、家族構成から、授業の時間割、好みのタイプまで丸分かり。 喧嘩もたまにはするけど、すぐに仲直りするし、倦怠期もこないし、一緒にいて全然飽きない。
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