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「しかしすごいよねー。和紗は」
「? なにが?」
「んー、マジメだし、かわいーし。
それに亮太の愛を惜しみなく受けとめてて、守られてマスってかんじが」
「え?イヤミ?」
「正解。わかってきたわねー和紗」
後ろに音符マークがつきそうなくらい、わかりやすく嫌味ったらしくいうのは、
鮎川はるな
大人っぽい雰囲気の同級生で、同じ栄養学部の友達。
今日の講義も終わり、18時。
少しずつ寒くなりはじめた今の時期、夕焼けは長いけれど、だんだん遠くから暗くなってきてる。
栄養学部の校舎のすぐ近くのテラスは、私たちの、絶好の場所。
綺麗にアッシュブラウンにそめられたはるなの髪が、まだ残ってる夕焼けを反射して赤く光ってまぶしい。
秋晴れというか、ほんときれーな天気だったなぁ、今日。
はるなは、長い爪をカチカチと鳴らしながら話す。
私は、シャーペンを走らせながら、明日の予定の確認。
「まぁ私なら無理だけどね、
あいつはちょっとうるさすぎて」
「そうかなぁ?」
「うるさいでしょ!
スカートの丈が短いだの、お弁当が食べたいだの、チョコは手作りがいいだの、メイク濃すぎだの、マニキュアは変な柄はやめろとか、赤のヒールはやめろとか!」
それは、前にはるなが、
どんな女の子が男は好きだと思う?
って、きいたからだと思うんだけど‥。
めんどくさくなりそうだから、言わない。
「あ!ねぇねぇ!そういえば!
今週の日曜日でいいんだっけ?居酒屋の‥」
「あ!うん、そうそう!『ぷらり』!
雰囲気もよくて、お酒美味しいって有名なんだよね~」
「おっけー! 美味しいごはんもあるといいなぁ…」
「…あんたはほんとごはんのことしか考えてないわね」
「デザートも楽しみにしてるもーん」
笑顔でこたえると、はるなもふふふっと笑う。
私たちの最近の趣味。
居酒屋巡り。
はるなはお酒目当て。
私はごはん目当て。
亮が、私とお酒飲むのあんまり好きじゃないから、居酒屋に2人ではほとんどいかない。
将来の管理栄養士さんとして、美味しいごはんを食べることも勉強だとおもって、いろいろなところに行っている。
「たのしみだなぁっ」
「ねー」
すっかり機嫌のなおったはるなは、グロスの光る唇でキレイに笑う。
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