第一章

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師を斬り捨て、人の道を外れ、鬼と成り下がり幾星霜。 無限にも思われるような長い年月を、己の望むままに生きてきた。 されど、人として在った時には感じられた快楽は得られず、ただ、餓えと渇きを癒すだけの日々。 人の道を外れ、外道にいる俺の周りには、同じような輩が集まった。 万引鬼(まんびき)に、病鬼(びょうき)、それから、知鬼(ちき)なんてのもいたか。 どいつもこいつもくだらない事を続けた挙げ句、道を外れた馬鹿な輩。 本当にくだらない……。 人を拐って拷問しても、面白くない。 脆弱な人などすぐに死ぬ。 助からない、とは自分が一番分かっているだろうに、震えながら、必死に命乞いする姿は滑稽だとは思うが、それだけ。 喰らったところで、たいして美味くもない。 ただ、周りの輩はそうは思ってないのか、楽しそうに拷問し、美味そうに人肉を喰らう。 つまらない……。
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