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そして、遂に奴の考えていたことが分かった。排水管を背に奴の動きが止まる。カチャリ、カチャリと二回音が聞こえた。
「さぁ、殴れば良いよ」
殺せよ、と奴の口は動いていた。声にはなっていないが、確かに奴は、そう言った。
言われるままに拳を作る。振り上げ、奴の顔に……。
「ふざけるな!俺には身動き取れねぇ奴を傷めつける趣味はねぇんだよ!」
振り上げた拳を解き、奴の胸倉を掴んだ。動きに連動してカチャリという金属音がする。
奴は自らの腕に手錠を掛けやがったんだ。排水管を間に挟んでな。
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