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その手錠は俺の物であり、警察の物でもあった。いつの間に盗んだのか、身に覚えがあるとすれば、奴が俺から糸くずを取った時だ。
おちょくられている間に手錠を盗られていたなんて、警察官として不覚過ぎる。
「君のその顔……、僕は嫌いじゃないな」
ニヤニヤと笑いながら奴が言う。
「うっせぇな!この変態が!お前の好みなんざ聞いてねぇんだよ!」
手錠が嵌ったままの奴の身体をど突き、俺は一人、狭い路地を抜け出す術に出る。
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