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神秘のもち。人は立ち入っても漁はするな。昔からの掟として今に伝わっている。その森は精霊がいるという伝説がある。人々は精霊を畏怖していた。そのため、その掟は破るものは、百年に一度現れるといわれるほどである。
神秘の森に、一人の青年がスコープの装着されたライフルを方から下げ、腰のベルトに装着された38口径の回転式の拳銃がホルスターに収め、森の中をゆっくりと歩いていた。彼の名前はレアン。神秘の森付近にある村から来たのである。もちろん、彼がいる場所で狩猟が禁止されていることを知っていた。しかし、彼はほんの少し迷信だと思っている。単なる老人の戯言と思っていた。
レアンは神秘の森の中心にある泉の近くにある茂みの中に隠れていた。伏せながら、ここにきた訳を思い出していた。それは今から二ヶ月前のことであった…。
レアンは大学生である。彼は国で一番という大学に通っている。小さな村から優秀な大学に行ったということで村で彼の存在を知らない人がいない。レアンは、そこの大学でも主席を取れるくらいの学力がある。そのため、周りから田舎者とか言われることもあった。特にレアンに対していっていたのがアレフレッドという名の都会育ちの青年だ。
レアンは大学にある学食で、自宅から持ってきた弁当を食べていた。その隣にアレフレッドが座った。いやみったらしい表情で、彼はレアンの弁当を覗き込んだ。そして、ニヤニヤして口を開いた。
「家から持ってきているのかい。大学近くにコンビニがあるのに」
「金がもったいないだろ」
レアンは溜息を吐きながら言った。それをアレフレッドはあまり面白くないのか、ポケットからあるものが写った写真を取り出し、彼の弁当の上に投げた。
「何すんだ」
「手がすべった。それに、食べられなくなったわけではないだろ」
「そうじゃないだろ、アレフレッド。食事中に見るようなもので穴井だろ」
と、レアンはアレフレッドを睨んだ。写真に写っていたのは、射殺され、頭から血を流し、死んでいる鹿だった。
「俺が仕留めたんだぜ」
「スポーツ感覚でか」
「何か悪いか」
「倫理的に」
「法は禁止してない」
「・・・あきれた」
と、レアンはアレフレッドを横目で見た。それが気に食わなかったのか、アレフレッドは立ち上がり、今宵、家にくるように言って立ち去った。家に来ないとどうなるか脅して。
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