act.1 回想

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ユウと寒波の気配を手繰っても手繰ってもどこかで途切れてしまう。 募る焦燥感を抑え、私は“ある人物”に接触を試みた。 代議士・佐多 亨―― 寒波の父親で、政財界に多大な影響力を持つ有名政治家。 彼ならば、何らかの情報を持っているのではないかと思い、フリーライターの肩書きを使い、取材という形でアポを取り付けた。 だが、期待はしていなかった。 相手は大物政治家であり、繋がりを持ちたがる人間は無数に存在している。 いちいち取り合っていたら、身が持たない。 だから、おそらく無視されるだろうと諦め半分で――それでも『竜胆』の名前に気がつくことに期待を込めて、接触を試みた。
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