プロローグ

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よせては返す―― 波の音が聞こえる――。 満月に照らされた夜の海。 潮の香り。 潮風が吹き抜け――。 窓を開け放つ。 「やっと……貴女に触れる事ができた」 低くてよく響く男の声が耳をくすぐる。 「もう……離さない」 鈴を転がすような男の声が、身体を包む。 「ユウ……。寒波……」 声に答えるように、私は荒く息を吐く。 「ああ……。貴女は本当に……朱が似合う」 がっしりとした体躯の男――ユウが私の腰に手を触れた。 「……っ!!」 「相変わらず……感度の良い身体をしているんですね」 紫の瞳と白銀の髪を妖しく揺らめかせる男――寒波が笑いながら、首筋に唇を落とした。
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