プロローグ

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月明かりがユウと寒波と私を照らす。 自由にならない身体を捩り、視線を移すと、ある物が視界に入った。 古びたマリア像――。 慈愛に満ちた微笑みをたたえ、マリア像が私たちを見下ろす。 『病める時も健やかなる時も』 マリア像が声なき声で問うたような気がした。 『貴女は――永久にこの二人との愛を誓いますか?』 私は声なき声に『はい』と答える。 それに呼応するように、ユウと寒波の愛撫が全身を包み、至福に包まれ―― 私は堕ちていくのだ――。
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