18人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
目の前には溢れ変えるほどの異形の者たち。この世界では一般的に魔物と呼ばれる者たちだ。
通常はありえない光景だ。
魔物達は通常別種同士では連携などをとらない。だがどうだろう。目の前にいる魔物達は様々な種類で連携をとり二人の男性に攻撃している。
「おい、こんな時に煙草なんて吸ってんじゃねぇよ。」
一人の髪の赤い若者は剣を魔物に向けながらもう一人の髪の青い若者を注意する。
「レアモンなんだよ。土にまみれさせんのは我慢ならねぇからな。」
注意された髪の青い若者は半場生きることを目の前の光景により諦めてしまったようだ。
髪の青い若者はフゥ、と煙を吐き出すと一本の煙草を赤い髪の若者に投げた。
「レアモンの最後の一本だ。せいぜい天国への道しるべの煙を豪華にすることが俺の最後の足掻きだよ。」
煙草を受け取った赤い髪の若者も髪の青い若者に習い煙草に火を付けくわえる。
そんな悠長な行動を魔物が待ってくれる訳もなく爪の尖った魔物が青い髪の若者に襲い掛かった。
「っと、危ないぞ。下がってろ。」
青い髪の若者の最後かと思われた瞬間突然現れた人物が爪の尖った魔物の攻撃を防いだ。
だが、その人物は灰色のパーカー着てジーンズ を履いたおよそ、こんな魔物の溢れる戦場で見るようなものではない軽装だった。
若者達は藁にもすがるかの様にその人物の言う通り数歩下がる。
灰色のパーカーの人物は片手をパーカーのポケットに突っ込んだまま逆の手を魔物達のいる方向に向けた。
灰色のパーカーの人物が何か呟いたかと思うと周囲一帯が爆破を起こし魔物達を塵も残さず消し去った。
「なっ…」
若者達は唖然としていた。
こんな状況なら自分達が百人いたとしても負けると理解していたからだ。
だからこそ、そんな状況を一人で一撃で終わらせてしまったのだから驚く他ない。
「もう方はついた。任務ご苦労。」
灰色のパーカーの人物はそれだけ言い残し去っていってしまった。
若者二人は吸っていた煙草を地面に落とし暫く呆然としていた。
この二人は後になって知るのだった。彼が一人の英雄だったことを。
最初のコメントを投稿しよう!