0人が本棚に入れています
本棚に追加
南警察署所轄3係。今日からそこに勤めることになる。
軽く深呼吸をし、中に入ろうとすると、後ろから声が聞こえた。
「早く入ってくれない?邪魔なんだけど。」
氷のような冷たい声に背中に悪寒が走る。
私はすぐさま扉を開けた。
「す、すみません。どうぞ。」
カツカツとハイヒールをならし、中に入っていく女性はとても美しかった。
スタイル抜群の体やすこしきつめだが綺麗に整った顔。
髪型はポニーテールに近く、髪をたなびかせながら奥へと歩いて行った。
でも、私はあまり好きになれそうにないタイプだったな。
いくら綺麗とはいえ、お礼一つ言わない人は嫌いだ。
とそんなことを考えていると敬礼ポーズをしながら目の前を横切るチャラい男が1名。
私はとっさに引っ捕まえる。
「なんだよー、蒼(あお)。あ、初日そうそう俺に惚れたか?」
「その逆よ、イイダコ。」
「おいこら、誰がイイダコだ」
「あんたのことよ、飯田宏樹(いいだこうき)」
私の目の前にいる警察学校からの同期、飯田宏樹。
髪にワックスを付け毛先をつんつんに尖らせ、せっかくかっこいいスーツもチャラく改造されていたりと、喋り方だけでなく見た目もチャラい。
それに見た目がかっこいいので警察学校時代はずっとモテていた。
勉強しか興味のなかった私はこいつの事がとても嫌いだった。
うんの悪いことに同じクラスであった私たちはずっとこんな言い合いをしていた。
まあ、おかげで楽しかったこともあったけれども私はこいつの事が好きになれなかった。
最初のコメントを投稿しよう!