第1章-ゲームスタート-

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ーーー辺境の街、ルクセル。グランザム王国に属する街であるが、この街は別名『初心者の街』とも呼ばれており、自由都市風な面ももつ非常に特殊な街である。というのもそれはルクセル周辺に比較的弱い魔物しか存在しない為であり、成り立ての冒険者でも戦えなくもないので、戦闘のノウハウを学ぶのに最適の狩場だからであ。そのためルクセルには数多くの冒険者の卵がが訪れる。 冒険者を志す者は訳ありな者も少なくないが、ルクセルの統治も兼ねているギルドの基本方針は来るものは拒まず、である。よって、ルクセルの街は比較的検問が緩く、身分証のないものでも街に入ることができるのだ。 因みに天音は知らない余談だが、実はゲーム開始時にスタート地点を決められたのだ。選択肢は騎士の国グランザム、魔法の国アイアス、亜人の国ヒルベルンの三つで、選んだ国毎の所謂『初心者の街』の近くに飛ばされる仕組みだ しかし天音が驚いたのは其処だけでは無かった。レベルシステム、そしてスキルシステム、ジョブシステムがこの世界に住まう元々の住人達にも適応されている事だ。最も、プレイヤー組のように初期ボーナスポイントが無い分個体値自体は劣るらしいのだが、それでも天音には十分な驚きだった。 そしてもう一つの驚き。それは職業(ジョブ)システムに関してだ。 どうやら最初の説明時に職業を決められたらしく、そこで選んだ職業により相応しい装備が貰えたらしい。また、覚えられるスキルも職業に依存したり、更に職業ボーナスでステータスにが上昇したりと至れり尽くせりだ。 天音は説明をハッしょったせいか、職業は無職。しかも今のところ覚えられるスキルが一つも無いという悲惨な事態に陥っている。 こればっかりは看過出来ないので、メニューの問い合わせの欄から、運営(神様)に直接抗議のメールを送る事にした。 「腹減ったし、メールの返信くるまでに夕飯済まそう」 思い立ったらすぐ行動。天音は階段を降り、下の階の食堂に向かう。受付の時のおばちゃんに食事の旨を伝えると五分もしないうちに料理が並べられた。 メニューは黒パンと野菜のスープ、そして揚げ物。異世界といっても食文化に然程違いは無いようで一安心した天音は、空腹もあってか直ぐに完食すると部屋に戻った。
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