58人が本棚に入れています
本棚に追加
部屋に着くととほぼ同時に、まるで見計らうかのように、電子音が頭に響く。直ぐにメニューを開くと、運営からメールの返信が来ていた。
『ごめんね、天音君!!すっかり忘れてたよ!選択し直せるようにしといたから職業の項目から変更してね。あ、装備も最適化するようにしておいたから。……お詫びといっちゃ何だけど、天音君のステータスに見合ったレア職業も入れておいたからそれで勘弁してね。
byセルヴィス』
神様とは思えない軽々しい文面にため息を禁じ得ないが、一先ずは感謝すべきだろう。
職業の項目を見やると、其処には天音のステータスを元に最適化された幾つかの職業の候補が現れている。そしてそんな中で一つの職業が目に留まると、天音は直感的にその職業を選択していた。
同時に装備していたショートソードが光に包まれ、変わりの獲物が腰に収まる。
「……ふふふ、これは面白くなりそうだなぁ」
まるで新たなおもちゃを手にいれたかのように純粋な笑みを浮かべた天音は、ベッドにゴロンと横になると、続いてスキルの選択に移るのだった。
ーーーーーーー
ーーーーー
ーーー
翌日。踊る子馬亭で朝食を済ませた天音はその足でギルドを訪れていた。目的は勿論クエストである。
この世界のギルドにはランクなどのまどろっこしいものが存在しないため、誰でも好きなクエストを受けられる。しかし一度受注したクエストをキャンセルする場合には罰金が生じるらしい。
天音は慎重にクエストの選別をし、やがて一つの依頼書を受付に持ち込んだ。
「この依頼受けます」
「はい!えー、『ルクセル周辺のモンスター討伐』ですね?此方の依頼は完全歩合制になっていますが大丈夫ですか?」
「はい」
というか、完全歩合だから天音はこのクエストを選択したのだ。これならば万が一失敗しても罰金が発生しない。
「では此方の依頼書にサインをしてください。そのあと、ギルドカードを此方においてください」
言われるがままに依頼書にサインをすると、ポゥっと光を帯びたかと思うと上段に『クエスト進行中』との文字が浮かび上がりだす。そのあと、受付嬢に言われた通り、小型の石板のような場所にギルドカードをおいた。
最初のコメントを投稿しよう!