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「はい、これで受注完了です。此方の依頼は制限時間24時間になっていますので、24時間以内に完了報告をお願い致します。尚、クエスト目標の確認や制限時間がある場合はギルドカードで確認可能となりますのでご活用下さい」
成る程、魔法って便利だな。などと何処か他人のごとの様に納得した天音は早速狩りに出かける事にした。
門から出る際、プレイヤーと思わしき人物が天音の視界に入った。なぜわかったかというのも、その容貌に強烈な違和感があったからだ。恐らくはアバター設定で弄ったのだろう。明らかな日本人らしい顔立ちなのに、髪色や瞳だけが物語のヒーローのようでミスマッチなのだ。それでも、元々の彼の容姿が優れているおかげもあってか、そこまでひどいものではない。ただ、違和感を覚える程度だ。
銀色の髪に金色の瞳と大凡一般人には似つかわしく無い容姿のそんなプレイヤーは天音の視線に気付いたのか、パチンとウィンク。背筋にむず痒いモノが駆け抜けた天音はそのプレイヤーから足場に離れ、街の外に出て行った。
ルクセル周辺の地理はメニュー画面にあるマップの項目のお陰で調査は済んでいる。本来なら自分の足で歩いてマッピングをしないと使えない項目なのだが、ルクセル周辺のみマッピングが事前にされているのは運営からの配慮だろう。
因みにマップの情報によれば東に森林地帯、西は草原、南にはダンジョン、北には山脈があるようだ。
「今日は東の森にでも行ってみるか」
理由は特に無い。強いて言うならば、生き物が豊富でスキルやアーツの実験対象に事欠かなそう、と言った所だろうか。
目的地を決めた天音はゆっくりと舗装された道を辿り、東の森へと歩を進め始めるのだった。
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