58人が本棚に入れています
本棚に追加
「一閃!」
文字通り、天音の一撃は敵を一閃し、その身を両断した。狼型モンスターは暫くの間痙攣していたが、やがて光に包まれて溶けるように消えて行く。
そして死体の代わりに毛皮のようなモノを残していた。これはドロップアイテムで、天音も初めての経験では無い。それを手に掴むとアイテムボックスに転送する。
メニュー項目からアイテムストレージを見やり、狼の毛皮というアイテムが追加されているのを確認した天音は小さく息を漏らした。
ーーー初戦闘の後、体力に余裕を残していた天音は更に何度かの戦闘をこなしていた。
出現した敵はナックル・ボアの他にワイルド・ウルフ、コボルトと呼ばれるモンスター達だったが楽々と撃破していく。
オマケにレベルも上がり、現在は2レベルに。アーツの習得は無かったが新たに得たSPを使ってPS『索敵』を取ったおかげでモンスターの名称、並びに周囲の敵気配の感知が可能になっていた。
「ふぅ。こんなもんかな?」
メニューを開いて時刻を確認するとまだ昼前。体力、HP共にまだまだ余裕があるが一度街まで戻る事にする。
今回の戦闘でスキル、アーツ共に満足出来る結果を得られた。しかしよくよく考えれば昼食はおろか、回復アイテムすら持って来ていないという事を思い出したのだ。
リスポーンの恩恵があるとはいえ一回限りの虎の子である。初心者の街でそれを使ってしまっては笑い話にもならないだろう。
「……一応、狩りながら帰るか」
索敵スキルの恩恵で一定範囲内ならば敵の有無が分かる。近場のモンスターを狩りながら街に戻る事にした天音がルクセルに戻るまでに更に1レベル上がっていたのは余談である。
最初のコメントを投稿しよう!