第1章-ゲームスタート-

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ーーーーーーー ーーーーー ーーー 「ーーーコボルトが七体、ワイルド・ウルフが四体、ナックル・ボアが……二体!?」 クエスト完了報告を済ませに来た天音は、不意に声を荒げた受付の女性ーーーキャリーに訝しげな視線を向けていた。それに気づいたのか、キャリーは少し恥ずかしそうに天音の方を伺っている。 「失礼しました。まさか登録したばかりの天音さんがナックル・ボアを討伐するとは……一応、東の森では一番の強敵何ですが」 「へぇ、そうなんですか。じゃあ討伐金も高かったり?」 「勿論です。えー、報酬ですが……コボルトが一体70イリス、ウルフが一体120イリス、ナックル・ボアが一体350イリスですから……合計で1630イリスですね。お確かめ下さい」 1630イリス分の硬貨が入った麻袋を受け取る。思いの外の高収入にすっかりホクホク顏の天音だったが、不意に思い出したかのような声を上げた。 「そう言えば、モンスターからドロップアイテムの買取って何処かでしてくれますか?」 「ええ、街中の武具屋や行商人が買い取ってくれますよ。一応、ギルドお抱えの素材屋でも適正価格での買取をしています。この建物隣ですので、よろしければ覗いて見て下さい」 キャリーに礼を言い、ギルドを出る取り敢えずは隣にあるという素材屋という場所に立ち寄って見る事にする。 ギルドに軒を連ねる素材屋はギルドを一回り小さくしたような建物であった。木製の扉を開くと、ギルドとは違い飾り気の無い店内が広がる。壁にはモンスターの素材毎の買取価格と販売価格が書いてあり、後はカウンターがあるだけだ。そして、其処には所々が赤く染まったエプロンに身を包む、見ようによってはホラー映画のワンシーンに見えなくもない中年の男性がいた。 そんな天音の抱いた印象とは対照的に、男は天音に気付くや否や、気さくそうな笑顔を浮かべた。
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