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「本当ですかぁ!その服、実は古い文献を参考に作ったものだから不安だったんですよぉ。うふふ、よかったぁ」
本当に嬉しそうに笑う女性だが、天音はそれよりも古い文献とやらが引っ掛かった。どこからどうみてもこれは和装である。しかし純粋に喜んでいる様子の女性に水を差すのも悔やまれるので、取り敢えずは忘れる事に。
「良ければこの服、売ってくれませんか?後、部屋着に使えそうな服を何点かと男性用の下着もお願いします」
「勿論ですよぉ。えっと、お値段は……合計で1500イリスになりますぅ。……はい、丁度でお預かりにならまぁす」
やはり、衣服と言えども戦闘用の物ともなると値は張るらしい。本日の収入の大半を失うことになるのだが、天音は満足できる買い物をひたと思える為さしたる問題ではないだろう。ちなみに、サービスとして下駄もつけてくれた。不思議と動きを阻害しないが、まあそこは例のご都合主義でなんとかなっているのだろう。
購入した戦闘服はそのまま着て行く事にして、残りの服はアイテムストレージへと送る。
「ありがとうございましたぁ。また新しい服を作るから、良かったらまた見に来てくださいねぇ。綺麗な冒険者さん」
「勿論。楽しみにしています」
女性に別れを告げて店を後にした天音。今更防具が必要とも思えないし、武器は今のところ満足している。来る途中で見かけた道具屋らしき店で適当な消耗品を購入した後、宿に向かって歩き出すのだった。
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