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不意に索敵スキルに反応が起こる。しかし、辺りを見渡すが敵影は無い。
(スキルの故障か?それともーーー)
カタカタ、と物音が天音の耳に飛び込んで来る。位置は背後。距離は至近距離。咄嗟に前に転がるようにして身を投げ出すと同時に身体を反転させ、物音の方向へ刀の柄に手をかけて視線をやった。
そこにいたのは、真っ白い骨だった。
文字通り骨だ。何故か動いているが、それは人骨だろう。索敵スキルが作動し、それがモンスター『スケルトン』である事を天音に告げて来る。
「さしずめ夜専用のモンスター?……経験値の足しになっくれるなら何でもいいけどさ」
武装は手に持っている錆びた剣のみ。動きも大して早く無い。
直ぐに切り捨てようと思った天音だが、そこで異変に気付く。索敵スキルが敵の出現を告げているのだ。その数は増え続け、12体に達した所で漸く止まった。
12体に増加したスケルトンはそれぞれ違う武装を手にしている。天音はあまりの数の多さにため息を漏らしたが、次の瞬間には楽しげな表情を浮かべて刀を鞘ごと抜き去り、構える。
「ーーー行くぞ」
呟くと同時に地を蹴る。凄まじい速度で肉薄した天音は先ずは近場のスケルトンを一刀の元に切り捨てる。スキル『抜刀術』の恩恵を受けたその一撃によりスケルトンはバラバラになると、光の粒子となり消えて行く。
先ずは一体。抜刀術込みの一撃なら一発で削り切れる。
そんなスケルトンには目もくれず、次の狙いへ。少し離れた所にいるスケルトンに肉薄、刀を振るう。一撃、二撃ととんでもない速度の剣戟を見舞うとスケルトンは光と共に消えて行く。天音はスケルトンが消えるのを確認し、納刀する。
これで二体め。抜刀術無しだと二撃必要な事を把握する。
三体目、四体目のスケルトンがほぼ同時に接近。更に、手に持つ錆びだらけの鉄剣と手斧を振るって来る。
鉄剣の一撃を受け流す同時に刀で一閃、手斧を振るおうとしていたスケルトンの腕を返しの刃で切り飛ばし、その体に蹴りを叩き込んでHPを削り切る。
これで四体。勝手を掴んだ天音は様子見ではなく、本格的に攻勢に移ることにする。
今度は天音自身が接近。再度納刀し、抜刀の構えに入る。
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