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其処は無機質な白い部屋であった。何があるわけでも無く、ただ存在するだけの白い空間。唯一あったのは、頭上のカウンターのようなモノだった。其処には00105と表示されている。何を意味するか、この時点で推測するには情報が足りなさすぎる。天音がふと目線を向けると、そこに変化が現れていた。
「やー、お待たせお待たせ!えーと、君は確か……月城天音君だね?」
高くも無く、低くも無いその声色からは性別を判断出来なかったが、何故か印象に残りづらい。それでいて、圧倒的な存在感が感じられる矛盾したものだった。其処には優しげな笑みを携えた青年が立っていた。
「……誰?」
「初めましてだね、僕は……セルヴィス。うん、セルヴィスだ!」
まるで今決めたようなそんな言葉に、思わず天音も首を傾げてしまう。しかし青年ーーーセルヴィスはそれに構わず、忙しなく言葉を続ける。
「っと、それより早く説明しないと!こうしている間にも新しい参加者が……あぁ、もう!」
「参加者……?あっ」
そう言えば、と。天音は自室での出来事を思い出す。意味不明なゲームの誘いとそれに乗った自分。そして、見知らぬこの場所と見知らぬ男。確実に何かに巻き込まれたのは分かったが、事態の全容を掴むには至らない。
そんな天音の心境は露知らず、青年はふぅ、と一息つくと天音へ笑顔を向けた。
「まずは、今回はゲームの招待を受けてくれてありがとう!君は105人目の参加者になる」
やはり、これはあの招待状が引き起こした事態のようだ。天音が黙り込んで思考を巡らせていると、それを怒っているのかと勘違いしたのかセルヴィスはあたふたと手を前に出す。
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