プロローグ

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俺こと柳佐助の家族の朝は早い。 何時も朝の5時には起床し、その日の新聞を読み、テレビを点けてその日のニュースを観る。 俺もその例に漏れず、毎日朝の5時には起床して家族が読む新聞をニュースを観ながら待つ。 家族構成は、父・母・兄・姉・そして俺の5人家族。 まぁつまり、俺は末っ子だ。 そんな末っ子の俺が、新聞を読むのは常に最後だ。 まぁ、一番最後に家から出るからな。 必然的に家族より時間に余裕の有る俺が、新聞を読むのが最後になるのは仕方無い。 新聞が廻って来るのをニュースを観ながら待つ。 まぁ、その間に時間の有効活用って事で朝食を摂る。 食事は自分で作る。 これは何時如何なる時も、材料さえあれば料理が出来る様になっておけ。って言う江戸時代から続く柳家の家訓なんだとか。 だから、小学校5年の時に調理実習をやってからは、家で自分の作った物以外を食べた事は無い。 まぁ、料理自体は小学校2年の頃から母親と姉に教え込まれたけど。 さて、時間だ。 時刻は6時20分。父と母と姉の出勤だ。 俺と兄は父達を玄関で見送る。 笑顔で「いってらっしゃい。」「いってきます。」 何気無い、他愛も無い挨拶。 柳家ではこれを大切にしている。 いってらっしゃいいってきますに留まらず、頂きますからご馳走さま、おはようございますやさようならまで挨拶はキチンと行う。 挨拶とは自分以外の他との繋がりを作るための大切な最初の手段だ。 商人にとって、これはとても大切だ。 まぁ、挨拶は商人に限らず色々な所で大切だがな。 そしてまた時間が経って7時30分。 兄の出勤だ。 此処でも笑顔で「いってらっしゃい。」 兄も俺に「いってきます。」 挨拶をキチンとしっかり行う家族が今、日本にどれだけ居るのだろう? そう言う意味では俺ん家って結構珍しいのかもしれない。 話が少し逸れたが、また時間が経って7時50分。 高校生の俺は、学校指定の制服に着替えて学校指定の鞄に学校に必要な物と電卓を入れ、玄関へ。 誰からも返事が返って来ない事はわかりきっている事なのだが、俺は俺達の生活を支えてくれているこの家に言う。 「いってきます。」
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