2/2
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
青白い月が僕を見ていた 弱虫な僕を見ていた。 病院の屋上。 生きるのに疲れましたと書いた便箋。 余命はあと数年。 痛みが激しくなるたびに 愛してた君を思い出す 咳き込むたびに吐いたものは僕の命の残骸。 さよならしたのは君のためって言いながら 本当は普遍的な悲恋にしたくなかっただけ。 さよならしたのは君のためって言いながら 僕が君の前で弱さを吐き出したくなかっただけなんだ。 生きるのに疲れました と書いた便箋握り締める僕を 青白い月が嘲笑う。 痛みが激しくなるたびに 愛した君を思い出す。 苦い薬をオブラートに包んでのみながら 君は何を思ってるのか知りたくなるんだ。 弱虫な僕は死ぬのを選ぼう。 痛みに苦しみたくないだけだから。 いつか、僕が死んだことを知ったら 君は泣くんだろうな。 痛いと泣いた僕を抱き締めたあの日のように いつか、僕が死んだことを知ったら 君は泣くんだろうな 別れを切り出したあの日のように。 僕の痛みは真実だから 僕の苦しみは真実だから 僕が愛したのは真実だから だけど、だけど。 さよならしたのは君のため。 なんてのは見栄っぱり 本当は―――
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!