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一体、どれほどの長い間、この場所を感じてきただろうか。
見えるのは、灰色く、汚れのこびりついた壁。聞こえるのは、鉄格子の軋む音と、他の囚人たちのうめき声。触れるのは、冷たい床の感触と、時折漏れてくる、雫の一滴。
腐臭のような、汗のすえた臭いのようなものには、とうに慣れた。慣れないのは、いつも不意に入ってくる、看守のドアを開ける音。
それを聞くたびに、彼女はついに自分の番かと、期待か、それとも恐怖か、自分でもすでにどちらかわからなくなった感情を持て余す。
――――そう。ここにつながれた囚人たちの行く末は、すでに決まっている。みな、後はただ己の順番を待つだけだ。
つながれた者たちは、十人十色の反応を見せる。
看守が通るたびに必死になって泣き叫ぶ者、死んだかのようにうずくまって動かない者。机に向かい、一日中、一心不乱に何か書いている者。何かに向かって謝り続ける者。
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