The eye and the angel.

22/32
前へ
/179ページ
次へ
 そこは、『ナイトウィッシュ』と名の打たれた、小さなカフェだった。それなりに年季がはいったふうにも見えるが、エントランス脇には手入れの生き届いた花々が咲き、淡い色のレンガ造りの壁も手作り感があり、それなりにしゃれている。  だが、問題はそれがどう見ても『家よりも安全な場所』には見えないことだった。  トワが困惑している間にも、パルスは『CLOSE』の札がかけられたドアを開け、中へと入っていく。 「お、おい!」  思わず反射的にトワはパルスを追い、中へと入る。  そこは店の外観と同じく、こじゃれた感じのカフェだった。店内は決して広くはなく、カウンター席が5席ほどと、4人がけのテーブル席が4組ほど。暖かみのある木目調の床に、そとと同じレンガ造りの壁は、落ち着きのある隠れ家といった趣の店だった。 「パルお姉さま、いらっしゃい。お待ちしておりましたです。その人が例の人なのですか?」
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加