The eye and the angel.

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 案内されるがままに室内へと入ったトワの目に飛び込んできたのは、落ち着いた書斎か、応接室といった趣の部屋だった。カーペットの敷かれた室内にはソファが一対、その奥には大きな机が一つ置かれている。  その大きな机の前にいる若い青年が、どうやらこの拠点のリーダーであるという人物らしかった。 「――――やあ、始めまして。君がトワ君、だね」  さっぱりと整えられた茶色の髪に、微笑んでいるかのような糸目。シンプルなシャツにズボンといった服装は地味ながらも、どこか優しげな空気を纏っている。青年はにこりと微笑みながら、トワに向かって右手を差し出した。 「――――あ、はい。俺が、トワです」  動揺しながらも、トワは差し出された右手を握り返す。どうにも場違いなような言葉に、青年が笑みのしわを少しだけ深めた。
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