The eye and the angel.

32/32
前へ
/179ページ
次へ
「――――寿命の先延ばし。延命治療にしかならないかもしれないけどね」  腕を組み、皮肉めいた言葉を放つパルスに、ミズトは苦い顔をする。が、一つ咳払いをすると、改めてトワを見た。 「でもこれでわかったろう? 君が狙われる理由も、僕たちが君を保護した理由も。――――君は、その左目で人の死を予見することができる。奴らはそれが邪魔であり、僕たちは君に協力してほしい。どうかな?」  今までになくまっすぐに視線をぶつけてくるミズト。それは言外に、ナイトウィッシュのメンバーになる、ということを意味しているように思えた。しかし、トワはそれに対して強い視線を返す。  ――――そんな問い、答えなんて決まってる。自分だって、まだ死にたくはない。 「――――この状況で、選択肢なんてねぇじゃねーかよ……。いいぜ、わかった。あんたたちに協力するよ」  その答えに、しかしそれを半ば予想していたかのように、ミズトは微笑んだ。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加