第1章

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 そりゃあ、俺だって義理でもいいから一つぐらいは、って思ってたよ。朝、学校に来てみると、机の上に置かれたチョコレートらしき赤いハートの箱。両手サイズで、可愛らしくピンクのリボンでラッピングされている。それだけなら、素直に喜べたのに‥‥  可愛らしいピンクのリボンには、メッセージカードが挟まれていた。 『危険! 触るべからず』 俺は一体、この不審物をどうしたらいいのだろうか……  こんなことするのは、彼女しかいない。しかし、隣の席を見ても空席でーー もう二ヶ月にもなるのにーー葬式にも参列したというのにーーミチルの病気が治り、隣の席で元気に笑ってるところを想像してしまうのだ。 「おう、蒼佑。おはよう」 「おう‥‥」 例の不審物を悪友、伊藤蓮司の目が捕らえた。 「なんだよ、チョコの自慢か?」 冷やかしてやろう、そう顔に書いているかのような、意地悪そうな顔が隣にやってくる。 「ちげえよ。見てみろよ」 先程までのにやけ顔が嘘かのように、見る見るうち顔が渋くなっていく 「なんだ、これ……」 「どうしたらいいと思う?」  しばらく考え込んだ後、ヤツはとんでもないことを言い出した。 「開けてみれば?」 「マジで?」 蓮司は首を大きく縦に振った。 「いやいやいやいや」 俺はメッセージカードを指差す。『危険! 触るべからず』だぞ!? 蓮司はそっと俺の背中を押す。 「大丈夫だって! 何びびってんだよ」 「べ、別にびびってなんか……」 ムキになってリボンに手を伸ばすが、あのメッセージカードがそれを阻むのだ。
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