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四季の陣?
まさか構えが4つあるのか?
「リンク、アタシの剣をさばいてみな!」
次に見たディンの動きは、正しく曲芸師そのものだった。
前転しながら近付いてきたのだ。
全く予想出来ない!
ディンが間合いに入り、両手を地面に着ける直前に俺は剣を横に振った。
しかし、剣は空を切り裂いた。
「!?」
首筋がゾクっとし、瞬発的に俺は前に転がった。
振り返ると、そこには誰もいない。
ゾクっ
背後の寒気に反応し、リンクは振り向きざまに剣を振った。
だが、そこには又してもディンはいない。
また寒気が!
ブンっ!!
また!!?
「リンク殿は何をしているのでしょうか?」
兵士がタナストに聞く。
「アレが冬の陣だ。目にも止まらぬ剣技で猛撃するのが『夏の陣』なら、巧みな曲技を使って目には見えない一撃を狙うのが『冬の陣』。リンクは、おそらくディン殿が発する一撃の殺気に反応して剣を振っているのだろう。だが、一撃を未然に防いでいるだけで、リンクの剣はディン殿には届いてはおらん。曲技で間合いから上手く出ているからな」
くそっ!
姿が全く見えない!
この繰り返しだと、殺気の感覚が鈍くなってくる俺の方に隙が生まれてやられる。
何か方法は無いのか?
ゾクっ!
「くっ!!」
キィィィン!
金属音と共にバク転し、何とか俺は態勢を立て直したが、さっきの一撃は危なかった。
反応が僅かに遅れてた。
もう次は防げないかも知れない。
けど、どっちにしろ次で決める!
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