赤髪の剣士

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俺はタナストの案内で、先ず会わせる人がいると言われ、訓練場の宿舎へ向かった。 この宿舎が大きく、前の修練場の宿舎より何倍もデカい。 コレならさっきの大人数も寝泊まり出来そうだ。 宿舎内も広く、綺麗に掃除されていて居心地が良さそうである。 赤いカーペットが廊下に敷かれており、その上をズシズシと歩くタナストの後をついていくと少し大きな扉の前に辿り着いた。 タナストが扉をノックすると、中から女の人の声がした。 綺麗な声だが、堂々とした強いイメージを持たせる声だ。 「タナストです。失礼します」 扉を開けると、其処には燃えるような赤く長い髪の美しい女性が凛として立っていた。 強さを内に秘めた赤い瞳に引き込まれそうになる。 「ディン殿。この方は、旅の剣士リンクでございます。本日より、このリエンド軍訓練場にて訓練する為、遥々遠方から参られました」 タナストに紹介されたが、ボーッとしてディンに見入っていた。 「おい!挨拶せんか!」 タナストに頭を叩かれて、俺はハッと我に返った。 「あっと、その、どうもヨロシク…です」 慌てて挨拶したが、とても目上に対するそれではない。 俺の言葉にタナストは呆れ果てて溜息をついた。 当然だ。自分でもそう思うのだから。 しかし、彼女の反応は、怒るどころか笑っていた。 「とんだ旅人が訪ねてきたもんだ」 ディンは俺に歩み寄ると手を差し出した。 「ヨロシク、リンク」 「あ、ええっと、ヨロシクです。ディン殿」 ディンと握手を交わした。 小さな手だけど、何故だか強さと温かみを感じる手だ。 「ディンでいいよ。それより、近くで見ると、キミ強いね。目を見れば分かる…相当な経験を積んできた目だ」 その赤い瞳でマジマジと見つめられ、思わず頬を赤くして顔を背けてしまった。 握手も同時に離され、ディンはニヤリと笑みを浮かべた。 「リンク。アタシと一勝負といこうじゃないか!」 この言葉の後に、タナストが慌てて割って入ってきた。 「いやいや!ディン殿!我輩が先にと思っておりましたのに!」 「お前は予約を入れるのが遅いよ。アタシが先約だ。さて、リンク。訓練場広場に行こうか」 俺はポカンとしていたが、首だけは縦に振っていた。
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