第1章 予兆

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数か月前のこと・・・・ 僕は叔父さんの家に呼ばれていた。 家に入ると奥で棚をあさっていた叔父さんが振り向いた。 「おっ来たな。早速だが、なぁケイル、一つ頼まれちゃくれねぇか?」 「頼みって?」 「ああ、実はな・・」 そういい、家の奥に向かって「おーいルーフ!」と呼びかけた。 ルーフ?そんな人この村にいたっけ? そう考えていると、奥からトコトコと、歩いてくる生き物がいた。その生き物は、犬というよりオオカミのような姿をしており、まだ子どものようで小さな体は可愛らしいが、きらめく白銀の毛皮や凛々しい顔からはどこか威厳すら感じる。 「その子は?」 「こいつはルーフっていってな前に北の方に行った時にケガをして倒れていたところを保護して手当したんだよ、そしたら懐いちまったもんだから連れてきたんだが・・こいつ寂しがりやでなぁ。かといって調査に連れてはいけねぇし・・ そこでだ!」 「つまりその子の面倒をみればいいんだね。」 「さすが俺の甥だな、察しがいい。というわけで定期的にこの家にそいつを見に来てくんないか? お前動物好きだろうし。」 「うん、分かった、おいでルーフ。」 すると、ルーフは走り寄ってきて僕の前に座るとゆっくりと尻尾を振った。 「おいおい、こいつ誰でもいいんじゃねえだろうな・・まあ、いいやそういうことで頼むな。俺は調査に行ってくるから。」 「え!今から!?」 「当たり前だろ、今じゃなかったらいつ行くんだよ。じゃあな。」 そう言うと叔父さんは行ってしまった。 まったく思い付いたらすぐだもんなぁ・・困った人だ・・・
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