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~王と予言者の話~
とてつもなく巨大な領土をもち、数多くの町や村を内包することで有名な国、『クレイル王国』その事実上の首都にあたる場所の王宮に二人の男がいた。そのうちの一人、玉座に座る男が口を開いた。
「アルバよ、それは本当のことなのか?」
その言葉に、玉座の前にひざまずくもう一人の男が答える。
「はい。私が『見た』のは辺境の村フィカ、そしてそこから伸びた影が王国に向かってくる様子でした。」
「しかし、そのような信じがたい話・・・王宮直属の予言者であるお前が直接出向く程のことか?他の者を向かわせればすむことであろう。」
「いえ、今回ばかりは他の者では不可能でしょう。」
「ふむ お前がそこまで言うとはな、まあ良いお前が今まで考えなしで行動したことなどない、代わりには予言者を数十人かき集めれば何とかなるだろうて、行って来るとよい。」
「ありがたきお言葉」
予言者はそう言うと玉座の前から去っていった。
王は一人つぶやく、
「アルバ、お前とは長い付き合いだが、本当に『見た』のはそれだけか? 一体何を・・・」
その言葉を聞いた者はいない。
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