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「それが分からないから、悩んでいるんです」
大野刑事はそう言うと、困ったという気持ちを表すように首筋をかく。
「もしかして、店員が見た財布は被害者の財布とは違ったとか?」
「彼には財布の現物を見てもらい確認しました。確か同じような財布だったと言うことです。まず間違いなく、同じ財布でしょう」
「じゃあ、純粋に買う必要がなくなったとか?」
「茨木は極度のヘビースモーカーで、少しでも間があるとすぐにたばこを吸う、時間が無くてもたばこを吸うといったタイプだったようです。所持品の中にたばこが含まれていなかった事を考えると、たばこを買わないというのは少し考えにくいと思いますね」
石榴刑事が私の意見に対し疑義を挟む。
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