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「それで、動機は何だったんですか?」  もう、私たちの事なんて眼中に無い店長は無視して、私は石榴刑事たちに尋ねる。 「それなんだけどね」  大野刑事は困ったとでも言うように視線をさまよわせる。 「まだ話していないんですか?」  私はその態度が、犯人がまだ否認しているためだと理解した。しかし、大野刑事は首を振り、 「そういうわけではないんだよ。一応理由は聞き出したんだけどね」  どうも歯切れの悪い言葉に私は首をかしげてしまう。  店長は自分の目の前に置かれたケーキと私の分のケーキとを見比べているが、私はあえて無視をして、 「何か問題があるんですか?」 「犯行の動機はね、茨木にテレホンカードを使われたからだと言うんだよ」 「テレホンカード?」  私は訳が分からず、思わずその単語を口にする。
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