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「何でも、鈴木の財布に入っていたテレホンカードはかなり珍しい物でね、それを茨木に使われた事に腹を立て、思わず手近にあった石で殴ってしまったという事なんだよ」  店長の推測通り、茨木と鈴木は上着を間違えて着てしまったのだそうだ。二人の背格好は同じくらいだった。そして、これも店長の推理通り、鈴木の財布にはテレホンカードと、携帯番号の書かれた個人用の名刺しか入れていなかったらしい。財布の中に一円もお金が入っていなかったのは、鈴木は普段、記念品の財布をあまり使用せず、普段使いの財布は別に持っていたからなのだそうだ。その上で、同窓会という事もあり、記念品の財布を持ち出してきた。そして、同窓会の前に立ち寄ったコレクターショップで、以前から探していたテレホンカードを発見した。  鈴木はテレホンカードの収集家だったのだそうだ。財布の中に入れていた名刺は、コレクターとして活動するときに利用していた物だった。
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