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そんな店長の行動を横目に見ながら、今度は茨木さんのことを考える。彼にしたら財布をなくしたことにより無一文になってしまったのだ。いくら人の物だと言っても、テレホンカードくらいなら使ってしまってもおかしくない。それでしか連絡を取る方法が無かったのだ、大半のテレホンカードの度数は五十、額面で言えば五百円程度でしか無いのだから。もしかしたら、軽い口調で使ってしまったことを鈴木に告げたのかも知れない。それくらい、被害者にとっては軽い事柄だったに違いない。
「結局、茨木が所持していた財布から鈴木の指紋が出てきた事と、公衆電話から被害者の指紋が検出され、そこから鈴木の携帯電話に電話が掛けられた事が確認され、家宅捜索の結果見つかったテレホンカードに茨木の指紋が残されていた事から犯人逮捕と相成ったわけだよ」
大野刑事はそれだけを言うと、彼の目の前に有るケーキに手を伸ばす。石榴刑事はというと、ケーキに手を伸ばす事はせず、紅茶だけを口に運んでいる。そして、
「私は甘い物が苦手ですから、これをどうぞ」と、彼の分のケーキを私の前に回す。
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