2/24
前へ
/280ページ
次へ
 カシャリ、私の背後でシャッターの音が響く。それに併せる様に黄色い声。この店に不釣り合いなその声に、私は思わず眉をひそめる。 「店長さん、こっち見て」 「はい、はい」  店長は黄色い声に応えるようにすました表情を作る。それに併せて再びシャッター音、その音の元にはスマートフォンを構えた高校の制服姿をした女の子、いわゆる女子高生だ。 「店員さん、カメラ、お願いしても良いですか?」  女子高生の一人が私にスマートフォンを差し出す。 「はい、喜んで」  本当は内心、むっとしているが、極力笑顔を浮かべ、スマートフォンを受け取る。いくら不満でも、彼女たちはお客なのだ。無下にするわけにはいかない。
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加