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秋田写真館の話を聞いてから、一週間ほど経っただろうか、私は結局、秋田写真館の前を通る事はなく、そんな事が有った事もすっかり忘れていた。そして、今日、不意にこの店を訪れた客がいたのだ。
もちろん商売をしている以上、お客というのは突然やってくる物だ。それでも、この女子高生の集団という来客は少々どころか、とても予想外な物だった。
その中には一週間前、この店に迷い込んできた彼女もいた。きっと彼女が、面白い服装の店長がいる店がある、とでも友達に触れ回ったのだろう。あの年頃の女の子は、こういうことには格別の好奇心を寄せる物だ。私も数年前は、と思ったところで、まだ老け込むには早い、と再び自分を律する。
客とは言ったが、彼女たちのお目当ては店長だ。店の品物に興味があったとしても、おいそれと買えるとは思えない。それでも、まだ買わないと決まったわけでもないのだ。冷たくするわけにはいかない、このジレンマは、説明が難しい。
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