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「アサリ、この店、面白いね」  女子高生の一人が、先日この店に来た少女に声を掛ける。という事は、彼女の名前はアサリと言うらしい。それが名字なのか、名前なのか、はたまたあだ名なのかは分からないが。  アサリと呼ばれた少女は困ったように頷く。彼女は他の女子高生とは違い、終始おとなしく、店の隅っこで不安そうな表情を浮かべていた。その様子からは、店に迷惑を掛けていると感じてでもいるのだろう事が察せられた。それなら、友達に話さなければ良いのに、とも思ったが、面白い事は話したいと思ってしまうのも仕方がないし、こうなるなんて思いもしなかったとしても、彼女を責める事はできない。女子高生という物は得てしてどこか思慮が足りない物なのだ、というのは偏見や若さへのやっかみだろうか? 「あ、もうこんな時間、そろそろ帰らないと」  少女の一人が店の時計に目をやってそんな事を言う。時計は三時を指そうとしていた。 「店長さん、また来るから」  そんな言葉だけを残し、彼女たちは結局何も買わず、一斉に帰っていった。
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