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「邪魔するよ」  そんなタイミングで、今度は新たな訪問があった。その声には聞き覚えがある。再びお金にはならない来客だ。 「邪魔するなら帰ってください」 「おいおい、いつになく辛辣だな」  やってきた人物は案の定大野さんだった。その後ろには表情を硬くした石榴さんもいる。石榴刑事の表情を見て今日はちょっと、きつすぎたかと反省する。二人は現職の刑事で、何かあると、そして、何かなくても、三時になるとこの店にやって来て、店長の入れる紅茶を飲んで帰るのだ。もちろん、何かを買っていったりはしない。一度、奥さんにお土産でもどうですか、と真珠のネックレスを勧めた事があったが、そんな高い物は買えないと拒否された。なら、もっと安い物はないかと店内を見回したのだが、残念ながらその時は、めぼしい物は見当たらなかった。
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