第1章

3/3
前へ
/3ページ
次へ
星稜学園。 それは、都内でも名の知れた有名大学である。 「何度見ても大きいなぁ~」 大学に通い始めて早1ヶ月。湾野 小唄(わんの こうた) は、眼前にそびえ立つ巨大な建物に驚嘆の声を漏らした。 未だに、此の有名大学に入学出来た自分が信じられない。 試験問題が全く分からず、適当に答えを書きなぐり、面接試験では試験官の失笑を買い…。 親も友達も、勿論自分も、確実に『落ちた』 と思ったのだが。 神様は気まぐれに、小唄の願いを聞き届けてくれたようだ。 「あ、おはようわんこ!」 小唄の後ろを早足で追い抜きながら、友人が声をかけて行った。 わんこ。小唄は、氏名をもじって高校時代から友達に “わんこ”と呼ばれる事が多かった。 それが大学に入っても定着していて、自分でももう違和感は感じない。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加