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「んっ!やめ……はなせよ、ばか……っ!」
セブンの体を力任せに押しのけようとするが、グライヴが思っていた以上に男の力は強く、僅かばかりしか離れない。
「嫌です、離しません」
「んむ!?」
再度押し付けられる唇。
熱い、と思った。
熔けてしまいそうなほどの熱さ。
しかしそれが果たしてどちらの体温で、どちらの唾液の熱かはもう既に分りはしなかった。
それくらいの熱の中心で二人はただひたすらに──がむしゃらに──狂ったように──唇を重ねていた。
立ったまま抱きすくめられ、あまつさえ強引に唇を奪われて、それでもグライヴは普段の三割も力を出すことができないでいる。
まるで自分のものでなくなったかのように体は言うことを聞かない。
押しのけようとする手のひらもふるふる震えるばかりで、押しのけようとすることも、突き飛ばすこともできない。
いったいどうしたんだ、おれの体は?
自問して──不意に浮かんできた答にグライヴ自身愕然とした。
「~っぷは!はぁ、はぁ……ば、か……ばか、ばか……!」
おれのバカ。
そんなわけない。
おれはノーマルだ、そんな筈ない。
おれが、男のこいつを──
「はぁ、はぁ、そんなに頭を振ったって駄目ですよ、許しません。自分がどれだけお預けを食らってきたと思ってるんですか?」
「そ、そんなの……はぁ、知るかよ……!」
「十四年です。十四年もずっと好きな相手を抱けない苦しみが分かります?自分はこんなにも近くにいるのに、坊っちゃんは遠くて──だから、こうなる日を待ってました。ずっとずっと待ってたんですよ!」
「セブ……んんっ!」
三度目のキス。
貪るような、息苦しさすら覚えるような激しいキス。
同性でするにはあまりにも異常な。
だがその激しさの中には愛しさばかりが溢れていて、グライヴは思わず腕の力を抜いてしまった。
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