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きらりと光る葛島の瞳は責め立てるようではない。
純粋な興味。
面白い事なんかしてみろと言わんばかりの興味津々な瞳に、刀真はふうっと溜息を吐き、懐から霊符を一枚取り出した。
護符――主に結界を張るものだが、それを見て葛島はおぉっと大げさに驚いた。
ひゅっと刀真の手を離れたそれは襖へとぴたりと貼りついた。半分程開いていた襖が自動ドアのように閉まる。
「これで大声で騒ごうが暴れようが、外に音が漏れることはない」
「スゲー!! なぁなぁ、それって結界ってやつだよな!? 一体、どうしたらそんなことが――」
葛島は大声で称賛し、質問し立てた。刀真が言った通り、外には一切洩れることは無かったが、聞いているこちらが思わず顔を背けたくなるような興味の示しっぷりだった。
氷雨がくすくすと笑ってたしなめる。
「説明してもいいけど。日が暮れてもいいならね?」
「むぅ、すまんなぁ。まるで手品みたいや」
「ま、似たようなものよ」
「一緒にするな」と刀真は調子に乗ってからかう氷雨をたしなめる。
「面白いあんちゃん達やなぁ。まぁ、でもそろそろ本題入らせて貰うわ」
ひとしきり笑った葛島はそう言って、切り替えた。つい一瞬前の砕けた笑顔が引き締まる。
鞘から刀を抜いたが如く、刃のような視線に刀真もまた表情を引き締めた。
「んで、手紙にあったこのまま『デモを続けると、大勢の人間が死ぬ』ってのはどういう意味や?」
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